毛の生えた成形品

「毛の生えた真空成形品」

“毛の生えた容れ物ってありますよね。あれ作れますか?”というご質問をよくいただきます。
あの加工を‘植毛’または‘フロッキー’と言うのですが、先日もこのお問い合せをいただきましたのでこのお話をしてみたいと思います。さて、皆さん、“毛の生えている容れ物”と聞いて、まず何を思い出します?‘あれよ、あれ、万年筆の入っているあれでしょ’とすぐにお答えになる方も今では多くはいらっしゃらないかもしれません。私どもがいただくお話のほとんどはまさにこの‘万年筆の入っているあれ’に類するものです。

植毛成形品(フロッキー)ではあの毛をどのように植え付けると思います?」。いや、いや質問を変えます。「どの段階で毛が付くと思います?」。後者の質問の方が真空成形との関わり合が大きく、また皆さんのご質問の多くはここに集中してますので。(ちなみに毛は静電植毛といって電気の力を借りて毛を立たせのりの付いているベ-スに振りかけるようにくっつけるのです)。選択肢は二つ。
ジャジャン。1. 「成形材料に元から付着している」 2.「成形をした後そのうえに毛を付着させる」

答えは…ちょっとずるいのですが両方正解です。ただし私どもが行なっているのは主に前者です。後者はすでに形の作られているものに付着させるため均等に毛が植え付けられるという最大の利点があるのですが如何せん個別に付着させて行くため加工効率に劣る(と私は思っています)。前者は毛の付着したものを後から伸すためその密度にばらつきが起こるという欠点があるものの、真空成形型の型数だけ一緒に仕上がり加工工賃を下げることが出来き、また工程が私どもの手の中で完結してしまうため時間も読みやすい。こんなことから私どもでは植毛された材料に成形加工を行なう手段を主に取っているのです。

このペ-ジでは、私どもが実際おこなっている前者「毛の生えている材料を使用して真空成形品を作る」ということをメインに御覧になっていただこうと思います。

1.毛の生えた成形材料

植毛材
材料の状態ではこんな感じです。ロ-ル状になっています。
既存のものには以下のようなものがあります。

ベ-スとなるプラスチック樹脂 ポリスチレン(PS -‘スチロ-ル’とよく言います。この樹脂は、容器・トレ-に大活躍しています。カップ麺のカップにもこれを発砲させたものがよく使われています)。
 厚み 通常これは厚みの測りにくい毛の部分はのぞいて、ベ-スとなるプラスチック樹脂の厚みを指します。0.4ミリが常時用意されています。でもこのコンマなんミリとは言われてピ-ンとは来ないでしょう。
また成形する形状によっても伸されるところそうでないところが出てきますので、一概にこの厚みを使ったらこの強度とは言えません。決めかねる時は実際にテストをされて厚みを決められるのが良いのではないでしょうか。
赤や濃紺、グレイやなど数色程度の毛の色が用意されています。これも実際の材料を見られるのがいいのではないでしょうか。

*その他、「こんな材料がいいんだけどなぁ」と意中のものありましたら御相談ください。条件によってはその成形品向けに独自の材質・厚み・色など御希望のものが御用意できることもあります。

2.毛の生えた材料を真空成形する

植毛材(フロッキー)

実際の成形に当たっては見た目ほど変わった点はありません。このように,いたって普通(右画像)。ただやはり表面の毛をこがしたり変色させないようあまり高温の熱を短時間で加えることは避けなければなりませんし、伸されると毛の密度が薄くなります(右下画像)ので形状を決める段階で目立つところの高低さ等々を考慮しておけばいいでしょう(ちょっと見えづらいかもしれませんが写真の底角、‘てかてか’している部分がまばらになってしまったところです)。

 

植毛成形品の底はてかります。

成形終了。さあ、型をはずしてかたずけてお終い。というわけにはやっぱりいきません。こんな材料ですからやっぱり何かあると期待されていませんでしたか?実はこの材料は成形されながら自分の毛をばらまくのです。もったいない話です。そのおかげで終わった後の機械の中は毛が残ります。きちっと清掃行なわないと、しなくてもいいのに次の成形品に毛を植え付けてしまう。透明の成形は絶対にできません。植毛の厄介さはここにあります。

 

3.毛の生えた真空成形品をカットする

大判での成形品が出来上がりました。あとは外周を抜いて(カットして)完成品です。若干手間はかかりますがここも(びく刃で抜く)という通常の加工方法を行うことができます。

4.毛の生えた真空成形品をながめてみる

やっぱり通常の成形材料では絶対でない質感がありますね。また‘柔らかく包み、大事に取り扱いたい’というお客様の製品に対する気持ちがひしひし伝わって来ます。そのお手元の大事なお品、一度この‘毛の生えた真空成形品’に納めてみませんか?

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